株式会社ビズオーシャンで、2017年6月下旬に4泊6日で社長賞?的なシリコンバレー研修に4人+社長で行ってきたので、思ったことなどをメモ。
一言で言うと
日本ヤバい
日程など
4泊6日
日曜日午後に出発して金曜午後に帰ってきた。
飛行機は話題のUNITED。帰りの最後のごはんが機材の故障かなんかで出なかった以外は特に問題なかった。
泊まったホテル
ホテルは、航空券のみと大して値段の変わらないレベルの安いホテル。経費なので問答無用で判断基準は「サンフランシスコにあって価格安い」のみ。
ホテル ウィットコム予約 - サンフランシスコ | エクスペディア
歴史のある建物のようでかなり古いけど、手入れはしっかりしており、掃除などはしっかりされた。
1階にボールルームがあり、下記LGBTイベント関連かなんかやっていた。ボールルームの意味は最近アニメを見て知った。
サンフランシスコの中心部(ユニオンスクエア?)から徒歩20分程度と、かなりはずれで暗くなると道端にあやしい人たちがたむろしている女性にはおすすめできない地域だけど、男5人だから特に問題なかった。
サンフランシスコとシリコンバレーの関係
行ってみるまでサンフランシスコとシリコンバレーに強い関係があるのは知らなかった。
サンフランシスコのイメージは、GTAでの路面電車と、昔のミスタードーナツのCMでサンフランシスコのチャイナタウンの飲茶という所さんの歌が耳に焼き付いていたぐらいだった。
しかし、2つは大きく影響していた。
距離は混み具合によるが車で1時間弱。
詳しくは下記参考記事だけど、
サンフランシスコは上場前、シリコンバレーは上場後
サンフランシスコは独身若者、シリコンバレーは家族持ち
サンフランシスコは時間関係なくがんばる、シリコンバレーは定時帰り
サンフランシスコは街中、シリコンバレーは郊外の大学
シリコンバレー、サンフランシスコ界隈IT企業地図|インターネット界隈の事を調べるお
この記事の画像が一番ひと目で分かりやすかった
中に入って話を聞けた場所
SAP
現地日本人社員である小松原さんに案内していただきました。
ドイツのERPをはじめとした超大企業。会長がスタンダード大学に自費でデザイン思考のd.schoolを援助し、さらにシリコンバレーで始めたHANAをはじめとした事業で既存事業を抜いたという成功事例に圧倒される。
コンクリートむき出しの床は、あえて中途半端な状態にしておくことで、何かしなきゃという創造性を増すためという理由をしった。日本だとただオシャレなだけかと思ってた。
シリコンバレーオフィスでは、デザイン思考的なアイデアのネタになるようなものでいっぱいだった。
スタンフォード大学 d.school
上記したデザイン思考用の建物。
デザインを考える道具自体もデザイン思考で作られており、机、いす、ホワイトボード、工具などすべてに深い理由があった。
日本で有名なスタンフォード大学の本はこの2冊だろうか。
- 作者: ケリー・マクゴニガル,神崎朗子
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20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
- 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
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どちらも邦題には商業的に変えているのか、疑問が残るので、まだ読んでない人はぜひ英語の原題を知ってから考えてほしい。
社長のテンションはここが最高だった。
Uber
言わずと知れたスマホでタクシー的なものを呼べるもの。意図せず宿泊したホテルから2ブロックくらいの距離ですぐ行けた。
実際に現地での移動にUberを使ったが、事前にGoogleマップで道のりと金額が決まり、カード決済できるので、ぼったくりの心配もないし、行先を伝える苦労も間違いもない。
昨年あたりサンフランシスコではタクシー会社のイエローキャブが破産したのが日本でも話題になってたのを思い出す。
通訳をお願いした方の以前の部下がUberにいてオフィスの案内とお話を聞く機会をセッティングして頂いた。
人事制度とかシリコンバレーとサンフランシスコの違いとか大変いい話を聞かせて頂いた。
Googleマップをかなり使ってるサービスだが、それだけでなく、社員も元Googlerが多く、様々な制度もGoogleから持ってきているとのこと。
Googleの影響力はサンフランシスコのスタートアップにもとてつもなく大きい。
けどGoogleやめてスタートアップ行くのがたくさんいるって、どれだけのリターンを見込んで転職しているんだろう。
オフィスも広くて、様々な設備が充実していた。
エンジニアの机の3人に一人ぐらいは、ディスプレイの高さを上げて、スタンディングで仕事ができるのが設置されていたのがぱっと見で印象的だった。
フリーのドリンクと、シリアルコーナー
中の人とアポがとれず観光的に回ったところ
一般人は入れるところはない。看板の写真を撮るぐらい。
Computer History Museum
一時間ぐらいしかなくて、駆け足だったけど、真空管だらけ配線だらけのマシンとかにテンションがあがる
www.tripadvisor.jp
多様性の力
サンフランシスコに到着した日、偶然にも大きなイベントが開催されていて、大通りを占拠し、歩道も人だかりがすごかった。
LGBTをはじめ、民族、人種などいろんな人達がパレードしていた。
このイベントに合わせてか、Facebookの看板も虹色になっていたり、いろんな会社、お店で虹色を出していた。
多様性を受け入れさせようとする圧力、それを受け入れる寛容さ、どちらも強いエネルギーを持っていると感じた。
SAPでも根底に必要なのが多様性だと言っていた。年齢、国籍、文化、価値観の違う様々な人が一緒にいて、同じ目標を持つことで、課題も、解決策もいいものが出てくるのだろう。ここは日本が非常に劣っている部分だと感じる。
シリコンバレーの物価・給料の高さと日本のヤバい
SVではエンジニアの給料が急騰しており、人材確保が大変になっている。日本も同じだがレベルが違う。
普通のエンジニアで年収30万ドル、その他、コンピューターサイエンス系の学部卒業者などは数万ドル単位で、各種手付金とか手当とかを与えて来てもらうようにしているらしい。
優秀なエンジニアや、役職付きはいったいいくらなんだろう。
人月で考えるのは好きじゃないけど、外部のエンジニアを1ヶ月確保するには、400万円程度かかることになる。
日本を高めに見積もっても1/4程度になる。
当然この額を出せるということは、リターンを見込めるということだ。
こういうサービス、製品を作ったらexponential(指数関数的に、SAPで流行っている言葉らしい)に成長できるぞとみんな思えているんだと思う。
日本のエンジニアは英語は苦手かもしれないけど、技術的に大きく、少なくとも金額の差と同じ程度劣っているとは思えないし、この金額差はとても悔しく感じた。cheap japanがここにもあった。
それなのにこの金額差で出てしまうのは、為替の歪みも多少はあるかもしれないけど、日本向け(~1億人)にやっているかグローバル規模前提(数十億)でやっているかの差にも思えた。そもそも作ろうとしているもののレベルが違う。
単純化すると、大成功して10万ユーザーになりそうなサービスと10億ユーザーになりそうなサービスなら、後者に1万倍投資しても適正どころか、それぞれに必要な開発・運用コストの差は1万倍以下にならないと絶対にどこかおかしいので、適正な投資金額は桁外れな差になるだろう。
いちエンジニアの視点でこれを解決するには、エンジニアが英語などのコミュニケーション能力や、家庭などの問題を克服して海外に出ていくか、日本にいてもグローバルを前提にサービス、製品をつくることが必要になると思った。
日本人エンジニアは優秀、という前提が正しければ、そのコストパフォーマンスにおいて日本はとてつもない力を発揮するかもしれない。
思えば、自動車、家電などの日本製品が世界を席巻したらしい華やかな昔も、「高くて良い」ではなく、「安くて良い」だったんじゃないかという気がする。1ドル360円固定もあったし。その時を知らないけど。
日本車で高級車といえるのはレクサスからぐらいではないだろうか。それでもポルシェとかマイバッハ、ロールスロイス等いわゆる高級車に比べれば安い気がする。
私には値段の意味が分からないレベルの高級ブランドで海外に通用する日本製のものが思いつかない。
海外で見かけるのはコンビニ、牛丼、ラーメン、ユニクロ、ローカライズされた寿司ぐらい。
日本の強みが今もそこにあるのなら、iPhone、Uber、Google検索みたいなイノベーションは諦めて、ソフトウェアやインターネットを使ったサービスも「安くて良い」、いわゆるトヨタ的「カイゼン」で突き進むという道もあるかもしれない。
国籍、人種とトランプ政権
圧倒的にインド人と中国が多いそう。ソフトウェアはアジア人の方が有利なんだろうか。どちらも国の家族のためにたくさん稼ぐという意識が強いのかもしれない。
しかし、トランプ政権の影響で、移民を厳しくしており、それも給料の高騰を招いているらしい。
じゃあ、アメリカ以外、せめてシリコンバレー、サンフランシスコ以外でやればいいじゃないかと思うけど、そういう人があの土地にリアルに集まってないとできない何かがあるんだと思う。
たまたま自分のブックマークを見直していて、チームラボの人が下記記事で同じようなことを言っていたのを見つける。この人も多様性の重要性を述べている。
組織の強みは唯一、知を発見できるかで決まる ——チームラボ代表・猪子寿之 | 猪子寿之氏が語る、これからのクリエイション|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
たくさんの人が集まって、同じ時間を共有して仕事をするのは、非効率のようにも思えますが。
やるしかありません。なぜなら、それがクリエイションだから。効率を超越してそうせざるを得ないんです。みんなが集まらなくてもいい、もっと効率的な方法があるのかもしれないけど、いまのところ、それは見つけられていないと思います。